【糖質オフ】
すっかりおなじみの単語ですが実は愛犬たちの世界でも、ちらほらと耳にすることが多くその名を聞くことになった言葉です。
人にとっての糖質と愛犬にとっての糖質は役割や必要性が違うものなのでしょうか?
目次
人にとってのエネルギー源
糖質とは、糖とでんぷんの事をさします。
日本人の主食であるお米は糖質と食物繊維でできているいわゆる炭水化物と言われているものです。
炭水化物から食物繊維を除いたものが、糖質です。
甘いものだけが糖質ではないと言うのは有名ですね。
エネルギーになる栄養素の大きな3つが糖質、たんぱく質、脂質です。
この中の一つである糖質は、身体を動かすのに一番最初に使われるエネルギー源です。
起きていても寝ていても消費し続けるエネルギーが、糖質です。
犬にとってのエネルギー源
では、愛犬にとってのエネルギー源とはなんでしょうか?
もっとも重要なエネルギー源はたんぱく質です。
人の4倍以上も必要とされるほど、愛犬にとってたんぱく質とは重要な役割を果たします。
身体を作る基本がたんぱく質。
美しい被毛も、丈夫な皮膚も、元気な身体も、全てがたんぱく質でできています。
免疫機能もたんぱく質でできていますし、たんぱく質が不足するとその免疫力が低下し、筋力の低下や皮膚トラブル、涙やけなど様々な問題が出てきます。
たんぱく質は、愛犬にとって欠かすことのできない最も重要な栄養素です。
ついで、脂質、糖質となります。
脂質もまたエネルギー源となります。
脂溶性のビタミン(A.E.K.D)の吸収を促進し、血液を構成します。
糖質は即効性のエネルギー源となります。
吸収された糖質はたんぱく質や脂質よりも早くエネルギーとして消費されます。
糖質が不足すると低血糖になり、たんぱく質の吸収が阻害されて、十分な発育が行われなかったりします。
腸内環境を整える作用も、糖にはあると言われています。
そして糖質の最大の特徴は、脳のエネルギー源となる唯一の栄養素であると言う事です。
糖質の必要性
糖質とは砂糖だけではなく糖とでんぷんであると最初にお伝えしました。
人にとって重要な役割を果たす糖質ですが、人と犬とでは食性が違います。
同じように必要とされる栄養素でも、必要な量、分解のされ方、効能が変わってきます。
人は小麦や米などの炭水化物を消化するアミラーゼと言う消化酵素を豊富に持ってるのですが、犬はそれをあまり持っていないため糖質は必要ない、と言われてきました。
けれど、犬たちにも多少のアミラーゼ消化酵素を持っていることが、近年発表されています。
そのため、糖質は100%不要であると言う事はなくなりました。
ですが、大量の糖は肥満の原因となりアレルギーの原因ともなります。
最近は穀物不使用のグレインフリーフードが人気になっていますが、このグレインフリーフードにも炭水化物は含まれています。
小麦や米の代わりとなる低糖質のえんどう豆などが主となっています。
完全に糖質を除いた食事を続けていると、脳の働きが悪くなり免疫力にも影響してきます。
そして、逆に与えたい糖質と言うものもあります。
余計な添加物などが入っていないオリゴ糖などが腸内環境を整え身体の調子を良くしてくれます。
糖が足りない低血糖状態になると、せっかく良質なたんぱく質を与えていても、そのたんぱく質をきちんと吸収してくれなくなります。
ただし、糖は摂りすぎると体内で脂肪にかわるため肥満の原因になります。
小麦や米の糖質は穀物アレルギーの原因ともなりますので、アレルギーのある子は注意が必要です。
糖質を抑えて健康的な体つくり
糖質は体に必要なものではありますが、摂りすぎると悪影響が出るためバランスを取って与える必要があります。
糖質は摂りすぎると、体に蓄積され肥満となります。
エネルギーとして使いきれずに残った糖は、筋肉の中に蓄えられ、エネルギー不足時に使われるようになっています。
けれどその蓄積が余ってくると、肝臓などに脂肪細胞として体内に蓄えられてしまい、肥満へとつながります。
人と同じで、肥満は様々な影響を体にもたらします。
健康な身体の為には、肥満は大敵です。
アレルギーの子たちが多いと言われている昨今ですが、実はドライフードが原因の場合があります。
価格の安いドライフードは炭水化物である小麦が肉類よりも多く含まれていることが多く、炭水化物の過剰摂取がアレルギーを引き起こしていることがあります。
愛犬のアレルギーは、アトピー性皮膚炎、ノミアレルギー、食物アレルギーが多く、特に食物アレルギーは40%の愛犬が持っていると言われています。
アトピー性皮膚炎の約半数が食物アレルギーを併発しているとも考えられています。
アレルギーは血液検査で調べることが可能ですので、愛犬の身体が赤くなっていたりかゆがっていたりと言う症状があれば、一度検査をしてみてください。
食物アレルギーの場合は、下痢や軟便を繰り返していたり、口のまわりや背中、肛門や陰部の周辺に赤みや発疹が出ていることがありますので、フードを変えてみてもお腹の具合が良くならないと悩まれていたら、こちらも検査をお勧めします。
フードが原因でアレルギーを持っていた場合は、ステロイドなどのお薬を飲んでいても治療に時間がかかったり、何より毎日食べている食事が原因のためずっと症状が続いてしまいます。
グレインフリーのフードはこういった愛犬のアレルギーを軽減するためにも人気があります。
けれど一つここで気を付けたいのが、フード以外の食べ物です。
様々な場面で登場する、おやつ。
フードには気を配っていても、意外と忘れがちなのがおやつの内容なのです。
小麦にアレルギーがあるとわかると、クッキーやボーロと言ったおやつはもちろん避けると思いますが、例えば、歯の健康の為に食後に食べさせるガムなんかはどうでしょうか?
実はガムも意外と多くの小麦が使われているんです。
歯磨きガムなども、グルテンフリーのものに変えていきたいですね。
糖質のバランス
では、糖質はどれくらい必要なのでしょうか?
実は明確な基準と言うのは発表されていないと言うのが現状です。
しかし、積極的に糖質を摂取する必要はなく、過剰摂取をしないようにせねばなりません。
愛犬の理想的な食事バランスはたんぱく質・脂質が50%、糖質が25%、繊維質やミネラル類が残りの25%と言われています。
エネルギーは1kgあたり4Kcal。
砂糖や米、小麦、イモ類や果物に多く含まれています。
ご飯、さつまいも、じゃがいも、かぼちゃ、りんご、バナナなど、糖質は愛犬の大好きなものに多く含まれます。
絶対にあげてはいけないということではありませんが、これらを与える場合は通常のごはんを少しだけ減らしておきましょう。
ただし、悪性腫瘍のある子には糖類は大敵です。糖を餌に腫瘍は成長します。
獣医さんと相談しながら与える量を決めていきましょう。
肉・魚類や葉野菜は糖質が少ないので、あまり気にせず体に良いものを与えてあげられます。
糖質オフの食事
アレルギーや肥満を気にする愛犬には、普段のドライフードを減らしてトッピングをすることで糖質を減らす事が出来ます。
まず小麦でカサ増しされているようなフードは止めて、グレインフリーでたんぱく質の多めなフードを選びましょう。
そして、そのフードにトッピングをしてみます。
高たんぱく低糖質の食材で、簡単に始められるものをいくつかご紹介します。
生肉
生の肉は良質なたんぱく質でできています。
馬肉、鹿肉、ラム肉など種類も豊富なためアレルギーを持つ子にも対応しやすく、解凍するだけで与えられると言う手軽さもあります。
カロリーも低く、体重が気になる子にもお勧めできます。
グレインフリーのフードの中に含まれる糖質が、生肉に含まれるたんぱく質を素早く消化吸収してくれるので、アレルギーのためドライフードを食べておなかが緩くなっていた子にも安心して与えることができます。
初めて食べる場合はうんちの様子を確かめながら徐々に量を増やしていきましょう。
最初のうちはドライフード:生肉の割合を9:1程度にして様子を見ましょう。
生が不安な飼い主様は、軽くボイルしてレア状態で与えてみてください。
魚系
鮭や白身魚など、種類は愛犬の好きなもので大丈夫です。
肉では摂取できないオメガ3系の栄養やDHAなど魚ならではの栄養があります。
魚は生では与えず、必ず茹でるか焼くかの火を通したものを与えましょう。
キノコ類
キノコは食物繊維が豊富で糖質が低いので、トッピング素材としてオススメです。
手軽に手に入るマイタケやしめじ、しいたけなどほとんどのキノコが問題なく与えることができます。
細かく切ったものを茹でて柔らかくして、茹で汁と一緒にドライフードにトッピングするだけです。
マイタケは栄養が高く、免疫力を高めたり代謝を促進したり、ガンの抑制にも効果があると言われていますので、積極的に与えたい野菜の一つでもあります。
葉野菜
キャベツや白菜、小松菜など手軽に手に入る野菜を細かく切って茹でたものをトッピングに。
キノコ類とローテーションしてもいいですね。
1種類だけを毎日与えるのではなく、できるだけ種類を変えて与えましょう。
最後に
糖質は必ずしも悪ではなく、愛犬の身体を作る大切な栄養素の一つです。
何事にも言えることですが、極端に偏って与え過ぎたり、除去し過ぎるとバランスが崩れていきます。
糖質は愛犬の身体を作るたんぱく質を活かすために、そして身体をきちんと成長させるために必要な栄養です。
大量の糖質を与えるのではなく、ましてや人の食べる甘いお菓子やパンを与えていては、糖質の持つ力は発揮されません。
糖質は少量でもきちんと働いてくれる栄養素です。
おねだりされてもケーキやクッキーを与えずに、人には人の食性があるように、愛犬には愛犬の食性があります。
愛犬の身体にあったおやつやごはんを与えてあげてくださいね。
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