夏の足音を間近で感じる今日この頃。ワンちゃんたちも良い天気の日に散歩に行くと、帰ってから水をがぶ飲みしているのではないでしょうか?
夏といえば、海や山だけじゃなく、かき氷、トウモロコシ、枝豆にビール、スイカにブドウ!
食いしん坊なワンちゃんは、目を輝かせてしまいそうですが、要注意な食材も結構あるのが夏の季節のお野菜&フルーツなんです。
ワンちゃんってフルーツが大好きな子も多いかと思いますが、自分で「これは犬にとっては有毒な食べ物」というのがわかっていない子が大半なので、飼い主さんが気を付けてあげなくてはなりませんよね。
今が旬になるブドウ、レーズン類も、飼い主さんが食べているときにチョロッとあげたくなってしまうかもしれませんが、ちょっと待ってください!
実はブドウやレーズンはワンちゃんにとって命の危険があるって、聞いたことがありませんか?
聞いたことがないという方は、ぜひ読み進めてみてください。
背筋がぞーっと、寒くなるかもしれません!!
ここでは、ブドウやレーズンがワンちゃんに有害なのかどうかについて、見ていってみましょう。
目次
ブドウやレーズンがワンちゃんにNGって本当?
ワンちゃんのことについて書かれたサイトや、獣医さんのブログなどでは、ブドウやレーズンは、ワンちゃんにとってかなり危険といわれています。
そんなこと、初めて聞いたという方もいらっしゃるかと思いますが、ワンちゃんにとってブドウを食べることは、腎不全を引き起こすリスクを高めてしまうことがわかっているのです。
実際、ワンちゃんとブドウやレーズンの関係について、アメリカでは研究が行われていました。
なんでも、1992年~2002年にかけてアメリカの研究者が行った研究によると、犬43頭がぶどうや干しぶどうのどちらか、またはその両方を摂取した後に腎機能障害や無尿といった症状を発症したのだそう。
さらに怖いことには、ブドウやレーズンを食べたワンちゃんの半数が、急性腎不全で死亡したという結果です!!
ワンちゃんを飼っている身としては、ホラーでしかないですよね。
またアメリカ動物虐待協会の報告によれば、2003年4月から2004年4月の1年間でブドウを食べてしまったワンちゃんの自己が140症例報告され、そのうちの50頭がなんらかの症状を発症し、7頭が亡くなったとのこと。
3分の1はなんともなかった、ということではありますが、かなりのリスクですよね・・・。
さらに、2003年のアメリカの獣医師情報ネットワークで行われた調査によると、ブドウやレーズンを食べてしまったワンちゃんを治療したという回答をした獣医さんたちが全体の7.4%だったそうです。
「日本ではそんなの聞いたことがない」と、思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、そんなことはないのです。
実は日本でも、日本小動物獣医学会誌が発表している事例で、3歳で男の子のマルチーズ(体重2.5キロ)が種なしの小さい葡萄(デラウエア)を約70グラム食べてしまい、食べてから5時間後に嘔吐し、尿が出なくなり、摂取後4日で死んでしまったということが報告されています。
今回ここで報告されているのは1件ですが、「原因不明で死んでしまった」ワンちゃんの中には、きっとブドウ中毒で急激に病気になって天国に行ってしまった子もいるのではないかな・・・、と推測されますよね。
小さいお子さんがいるご家庭では子供たちが良かれと思って、ワンちゃんに自分のおやつのブドウをおすそ分けしてくれる子もいるかもしれません。
お子さんだけじゃなく、おじいちゃんおばあちゃんも知らずに与えてしまうかも。
おやつにお子さんがレーズンを食べられている家では、もしかしたらいくつか床の上に転がっているのを見逃していることもあるでしょう。
体の大きいワンちゃんではなく、体の小さな犬種のワンちゃんが数粒のレーズンを食べてしまったら、獣医さんで嘔吐させる処置が必要になることもあるのです。
家でブドウやレーズンを食べるときは、ワンちゃんのためにも必ず落とさないように気を付けることが大切なのです。
もちろん、ブドウパンやドライフルーツの入ったケーキ、クッキー、ぶどうジュースなどもNGですので、ブドウを使っているものには細心の注意を払いましょう!
ブドウを食べた後はどんな症状を発症するの?
ワンちゃんがブドウを誤って食べてしまった場合、どんな症状を発症するのでしょうか?
どんな種類のワンちゃんだったとしても、ブドウ中毒を発症するとみんな「嘔吐」といった症状で現れるようです。
食べてからだいたい数時間以内に嘔吐の症状が認められ、その後に下痢、食欲の低下、水を飲む回数の増加、お腹を痛そうにする、それにぶるぶると小刻みに体を震わせたり、呼吸が早くなったり、脈が速くなったりといった様子が見られるそう。
動物病院では、血液検査をすると腎機能の数値の上昇がみられ、ブドウ中毒を起こしているかわかるとのことで、数値が高いほど重症度が高いため、予後不良といわれています。
どうしてブドウ中毒になっちゃうの?
ブドウを食べたワンちゃんが、ブドウ中毒の症状を発症してしまう原因は、農薬や防カビ剤、ビタミンD類似物質、ブドウの判明していない成分などが考えられるようですが、詳しくはわかっていないようです。
いくつ食べてもブドウ中毒を起こさない子もいますが、1粒で重症化し急性腎不全を起こしてしまう子もいるので、一番安全なのは1粒も与えないことですよね。
どのくらいのブドウを食べると中毒になるの?
ワンちゃんがブドウを食べてしまうと、72時間以内に腎不全を発症するといわれています。
けれど、場合によっては飼い主さんが、ワンちゃんがブドウを食べてしまったことに気が付かず、正確な時間がわからないこともあるかと思います。
そんな時は72時間以内といわれても、何とも言えませんよね。
ブドウを食べた形跡に気づいたら、すぐに獣医さんに走ったほうが良いでしょう!
ちなみに全てのワンちゃんがブドウやレーズンを食べたら中毒を発症するわけではなく、1粒でも中毒症状を発症してしまう子もいれば、大丈夫なワンちゃんもいるっていうのですから、微妙ですよね。
どうやら、ワンちゃんの体重1キロ当たり32gのぶどうを食べると、腎不全を起こすというのが平均的な考え方のよう。
レーズンの場合は生のブドウよりも中毒症状は強く出てしまうらしく、ワンちゃんの体重1キロ当たり11-30g(差が大きいですが)で中毒症状がでてしまうといわれています。
生のブドウでも干しブドウでも、ブドウを食べてしまった場合はすぐに動物病院に連絡してみましょう。
ブドウを食べてしまった場合の治療法は?
もしワンちゃんがブドウを食べて、まだ1~2時間を経過していなかったら、動物病院を受診すると、場合によっては吐き出させる処置をされるかと思います。
ブドウを食べたときに発症しやすい乏尿になってしまうと、生存率が2割ちょっと、尿が全くでなくなってしまうと1割くらいということが、日本獣医師会の症例レポートでわかっています。
ワンちゃんの場合も人間同様、急性腎不全が疑われた場合は透析治療を勧められるかと思います。
ブドウ中毒予防のために
例えば家に小さなお子さんがいて、おやつにレーズンを食べたりしている場合には、お外でおやつを食べるときにレーズンをOKにするなど、家にブドウを持ち込まない工夫をするとよいですね。
新鮮なブドウを食べるときも、必ず落とさず食べるよう、気を付ける必要があります。
終わりに
ワンちゃんと一緒の楽しい夏は、もうすぐそこ!
夏の味覚をワンちゃんと楽しみたいと感じられる飼い主さんもたくさんいらっしゃるかと思いますが、自分の食べているものを与える前に、ちょっとだけスマホでその野菜や果物は食べさせても安全かどうかをチェックしてみてください。
夏の味覚のトウモロコシは、アレルギーを持っていない子であれば大丈夫ですが、トウモロコシの粒を与えるのは問題ありませんが、飼い主さんがちょっと齧ったトウモロコシを丸ごと芯つきで与えてしまうと、腸閉そくなどを引き起こす危険があるので絶対ダメ、といわれています。
トマトやキュウリ、レタスにカボチャなどは与えても問題ないとされているので、あげるのであれば安全なお野菜をおやつやご飯のトッピングにして食べさせてあげてくださいね。
もちろん、与えすぎは下痢などの原因にもなりますので、ほどほどに!
ブドウ、干しブドウ、マスカットはワンちゃんには絶対NGですよ~!!